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東京高等裁判所 平成7年(行ケ)67号 判決

東京都品川区東品川4丁目3番1号

原告

東芝ライテック株式会社

代表者代表取締役

加納忠男

訴訟代理人弁護士

大村金次郎

訴訟代理人弁理士

樺澤襄

島宗正見

樺澤聡

小野田芳弘

和泉順一

東京都千代田区霞が関3丁目4番3号

被告

特許庁長官 荒井寿光

指定代理人

内藤照雄

及川泰嘉

小川宗一

主文

特許庁が、平成3年審判第2162号事件について、平成6年12月22日にした審決を取り消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

事実及び理由

第1  当事者の求めた判決

1  原告

主文と同旨

2  被告

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

第2  当事者間に争いのない事実

1  特許庁における手続の経緯

原告は、昭和58年2月14日、名称を「蛍光ランプ装置」とする発明(以下「本願発明」という。)につき特許出願をした(特願昭58-21722号)が、平成2年11月29日に拒絶査定を受けたので、平成3年2月19日、これに対する不服の審判の請求をした。

特許庁は、同請求を平成3年審判第2162号事件として審理したうえ、平成6年12月22日に「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をし、その謄本は、平成7年2月15日、原告に送達された。

2  本願発明の要旨

管内径が18mmないし30mmで電極間距離が1380mm未満で内部に水銀とともに容積比でアルゴンを90%以上含む希ガスを封入した蛍光ランプに周波数が10KHzないし100KHzの点灯電圧を印加して陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23W/cmないし0.31W/cmのランプ電力で点灯することを特徴とする蛍光ランプ装置。

3  審決の理由の要点

審決は、別添審決書写し記載のとおり、本願発明は、本願出願前に国内において頒布された刊行物である昭和56年度(第14回)照明学会全国大会講演論文集3頁所収論文「環形けい光ランプ(FCL40、32、30)の高周波特性」(以下「引用例」といい、そこに記載された発明を「引用例発明」という。)に記載されたもの及び周知事項の「封入希ガスとしてのアルゴンが縞状発光を抑制する作用効果をもつものであること」に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした。

第3  原告主張の審決取消事由の要点

審決の理由中、本願発明の要旨の認定は認める。引用例の記載事項の認定は、引用例の記載を摘記する部分(審決書3頁3~16行)は認めるが、その余(同3頁17行~4頁5行)は否認する。本願発明と引用例発明との相違点〈1〉、〈2〉の認定及び相違点〈1〉についての判断は認め、相違点〈2〉の判断は争う。

1  審決は、引用例の記載内容を誤認し、引用例記載のFCL40の蛍光ランプが本願発明の「管内径が18mmないし30mm」の蛍光ランプに該当するとして、本願発明と引用例発明との一致点の認定を誤り(取消事由1)、また、相違点〈2〉の判断を誤って(取消事由2)、本願発明は引用例に記載されたものに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと誤って判断するに至ったものであるから、違法として取り消されなければならない。

2  取消事由2(相違点〈2〉の判断の誤り)の詳細

審決は、本願発明と引用例発明との相違点〈2〉、すなわち、「『ランプ効率が最大になるランプ電力』に関し、本願発明が『陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23W/cmないし0.31W/cmのランプ電力』と規定しているのに対し、引用例に記載されたものは“ランプ効率が最大になるランプ電流400mA前後”としている点」(審決書5頁16行~6頁1行)について、「対象とするけい光ランプ装置自体が同様のものであれば、『ランプ効率が最大になるランプ電力』がどのように規定されようともその実態に相違はないはずであって、本願発明と引用例に記載されたものとは前記したように要件のことごとくで一致するものである・・・から、両者の実質的内容は客観的にみれば同様のものと云え、この相違点〈2〉は、単なる表現上の相違によって生じたものと認められる。」(同7頁末行~8頁13行)と判断したが、誤りである。

(1)  引用例発明がFCL40についてランプ効率が最大になるランプ電流とした「400mA前後」は、本願発明の「陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23W/cmないし0.31W/cmのランプ電力」という数値範囲から大きく外れるものであり、引用例発明と本願発明とでは、その技術的思想を異にするものである。以下に、その根拠を示す。

引用例発明のFCL40に周波数40KHzの点灯電圧を印加して、ランプ電流400mAで点灯する場合の単位長さ当たりの陽光柱入力を、次の式を用いて求める。

単位長さ当たりの陽光柱入力

=陽光柱入力/陽光柱の長さ (1)式

陽光柱入力

=ランプ入力(ランプ電力)-電極損失 (2)式

ランプ電力=ランプ電圧×ランプ電流 (3)式

上記各式に代入する値のうち、ランプ電流は400mA(0.4A)であり、ランプ電圧はJIS(日本工業規格)による蛍光ランプ(一般照明用)のスタータ型環形ランプの特性の規定(甲第9号証14頁)に従って、FCL40についてのランプ電圧103Vを採用すると、ランプ電力は、(3)式から、103×0.4=41.2Wとなる。

電極損失は、湯浅邦夫他2名「高周波点灯による蛍光ランプの高効率化」(甲第12号証、以下「湯浅論文」という。)に記載された次の式(同33頁6行の(2.3)式、以下「湯浅論文(2.3)式」という。)により算出する。

Wel=(Vc+10.43)×0.1×Il+Va×Il

Wel:電極損失

Il:ランプ電流

Vc:陰極降下電圧

Va:陽極降下電圧

この式に代入する値のうち、ランプ電流Ilは400mA(0.4A)であり、陰極降下電圧Vcは本願明細書添付第4図から、封入希ガスをアルゴン100%としたときの高周波点灯(HF)時の値11.5Vを採用し、また、湯浅論文記載(同30頁15~16行、33頁12行)のとおり、高周波点灯時は陽極降下電圧Vaは0としてよいので、電極損失は約0.88Wと算出される。

(11.5+10.43)×0.4×0.1+0.4×0

=0.8772

したがって、上記(2)式により、陽光柱入力は、40.32Wとなる。

41.2-0.88=40.32W

陽光柱の長さについては、本願明細書第2表(甲第2号証の2第7頁)の陽光柱長さによることにして、JISによる蛍光ランプ(一般照明用)のスタータ型環形ランプの大きさの区分(甲第9号証10頁、以下「JIS区分」という。)によるFCL40の定格ランプ電力が40Wであるから、同表の環形定格W数(定格ランプ電力)40Wについての陽光柱長さ95.2cmを採用する。

そうすると、上記(1)式から、単位長さ当たりの陽光柱入力は、0.424Wとなる。

40.32/95.2=0.424W/cm

すなわち、引用例発明において、ランプ電流400mAの場合の単位長さ当たりの陽光柱入力は、「0.424W/cm」であって、これは、本願発明の「陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23W/cmないし0.31W/cm」との数値範囲から大きく外れ、本願発明とその技術的思想を異にすることが明らかである。

なお、引用例では、ランプ電流が「400mA前後」とされているが、その値が400mAの前後に多少振れても単位長さ当たりの陽光柱入力の変動は極めて小さく、本願発明の数値範囲から大きく外れていることに変わりはない。

(2)  また、本願発明のランプ電力を定格値と比較して、どれだけ絞り込むかの比率を求め、この比率によりランプ電流を求めて、引用例発明と比較すると、次のとおりである。

本願明細書第2表の定格W数はJIS区分による定格ランプ電力のことで、同表の環形の定格W数40Wの欄に対応する各欄には、市販の環形蛍光ランプで定格ランプ電力が40Wであるもの(すなわち、FCL40)についての調査結果が示されている。そして、40Wクラスに属するFCL40の蛍光ランプを例にとると、その高周波点灯時における最大効率となる電力は22.4~30.1Wである。このことは、FCL40を、定格に従った40Wの電力で点灯せず、22.4~30.1Wに絞って点灯することによって最大ランプ効率を得ることを表している。

すなわち、本願発明では、高周波点灯時における最大効率となる入力電力を、定格電力ではなく、22.4~30.1Wに絞り込むのであり、FCL40の定格電力40W(FCL40/38の定格電力38W)として計算すると、約60~80%と大きく絞り込んでいる。

22.4/40(38)~30.1/40(38)≒0.6~0.8

これに対し、引用例発明においては、ランプ電流400mA、ランプ電力は、被告主張によると、34.9Wであるから、その絞り込みは、約90%であり、本願発明と大きく異なる。

34.9/40(38)≒0.87(0.92)

ところで、「電力=電圧×電流」との周知の関係式により、ランプ電流を減少させるとランプ電力が減少することになるが、昭和27年5月25日発行「照明学会雑誌」36巻4号(甲第11号証)所収の「照明教室」(同137~139頁)の第3図a(最上段のもの)に、蛍光放電燈(蛍光ランプ)の特性として、電流を減少させると電力が減少するとともに電圧が増大することが示されており、このことは、電力の減少の割合は、電流の減少の割合に比例せず、電圧の増大分だけ電流の減少の割合よりも少なくなることを意味する。

そうすると、JISによる蛍光ランプ(一般照明用)のスタータ型環形ランプの特性の規定(甲第9号証14頁)によるFCL40の定格ランプ電流は435mAとされている(40Wクラスに属するFCL40/38の場合は425mA、以下かっこ内の数値は、FCL40/38の場合を示す。)ので、最大ランプ効率を得るため、定格電流40W(38W)を22.4~30.1Wに絞るには、ランプ電流を次の計算によって得られる244~327mA(251~337mA)よりもさらに少なくすることを要することになる。

435(425)×22.4/40(38)=244(251)

435(425)×30.1/40(38)=327(337)

このように、本願発明においてランプ効率が最大となるランプ電流の下限値~上限値は、244~327mA(251~337mA)であり、引用例発明の400mAとは、大きく異なっている。

(3)  さらに、本願発明の電極損失値から、ランプ電流値を求め、引用例発明と比較すると、次のとおりである。

定格ランプ電力が40WであるFCL40を例にとると、前示のとおり、その高周波点灯時における最大効率となる電力は22.4~30.1Wであるが、これには、電極で消費される電力分(電極損失)も含まれている(甲第2号証の2第7頁下から5~2行)。

本願発明による高周波点灯時における最大効率となる陽光柱部の単位長さ当たりの入力は、0.23~0.31W/cmであるから、その場合の陽光柱部入力は、これに陽光柱長さ95.2cmを乗じた21.9~29.5Wとなり、これと前記の22.4~30.1Wとの差が電極損失であって、その値は、0.5~0.6Wとなる。

他方、電極損失について、前示湯浅論文(2.3)式

Wel=(Vc+10.43)×0.1×Il+Va×Il

を用い、この式のVc(陰極降下電圧)に11.5Vを、Va(陽極降下電圧)に0を代入し、Wel(電極損失)に0.5及び0.6を代入して、この式をIl(ランプ電流)について解くと、FCL40の高周波点灯時の最大効率となるランプ電流は228mA~274mAとなる。

Il=Wel/(Vc+10.43)×0.1+Va

=0.5(0.6)/(11.5+10.43)×0.1+0

=0.228(0.274)

すなわち、この計算によっても、本願発明によるFCL40の高周波点灯時の最大ランプ効率となるランプ電流は約200~300mAとなるのであるから、引用例発明においてランプ効率が最大になるランプ電流とされた「400mA前後」は、本願発明における「陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23W/cmないし0.31W/cmのランプ電力」という数値範囲を大きく外れるのである。

なお、引用例(甲第4号証)の「測定結果」のグラフ(ロ)には、本件発明において最大ランプ効率となるランプ電流200~300mA程度の領域におけるランプ効率の変化が記載されておらず、その領域におけるランプ効率の値が開示されていないが、高周波点灯におけるランプの高効率点灯に適した最適条件の位置が、引用例に記載されたものと本願発明とでずれていることは明らかである。

(4)  被告の主張する単位長さ当たりの陽光柱電力の計算方法は、電極損失を4.4Wと算定した点において誤りである。

すなわち、被告が算定の根拠とした昭和53年4月1日発行の「東芝レビュー」33巻4号(乙第5号証)所収の池田貞太他2名「省電力形けい光ランプ」(以下「池田論文」という。)記載の「省電力形けい光ランプ」は、商用周波で点灯するランプであって、高周波点灯方式を用いることによる省電力形ランプではなく、また、同論文には、陰極損失と陽極損失の和としての電極損失が記載されているのである。

これに対し、高周波点灯時においては、湯浅論文(甲第12号証)に示されている(同30頁15~16行、33頁12行)とおり、陽極降下電圧がほとんど0となり、その結果、商用周波点灯時に比べて電極損失が減少する。前示湯浅論文(2.3)式が、商用周波においても、高周波においても成立する電極損失を計算するための一般式である。

被告は、蛍光ランプで消費される電力のうち15%が電極損失であると主張するが、その根拠として挙げる池田論文その他の文献(乙第8、第9号証)に示されたものは、いずれも商用周波点灯時におけるもので、高周波点灯時において陽極損失がどのように変動し、その結果、電極損失がどのように変動するかについては何らの記載もない。

その他、被告の計算方法は、市販の蛍光ランプの定格消費電力38W、管電流(ランプ電流)435mAに基づいて、ランプ電流400mA時のランプ電力を算出るに当たり、「38×400/435=34.9W」と計算するところ、これはランプ電圧がランプ電流の変化にかかわらず一定であるという前提の下に成り立つ計算であるが、蛍光ランプの特性として、電流を減少させると電力が減少するとともに電圧が増大することは既に述べたとおりであって、かかる前提は成り立たず、この計算は誤りである。

第4  被告の反論の要点

1  審決の認定・判断は正当であり、原告主張の取消事由は理由がない。

2  取消事由2の詳細について

(1)  引用例発明の蛍光ランプに周波数40KHzの点灯電圧を印加して、ランプ電流400mAで点灯する場合の単位長さ当たりの陽光柱電力を、原告と同じ、次の式を用いて求める。

単位長さ当たりの陽光柱入力

=陽光柱入力/陽光柱の長さ (1)式

陽光柱入力

=ランプ入力(ランプ電力)-電極損失 (2)式

ランプ電力=ランプ電圧×ランプ電流 (3)式

ランプ電力は、昭和55年4月発行、「松下電工・照明総合カタログ 施設照明編」(乙第6号証)に、丸形蛍光灯〈ハイライト〉の40ワット用「FCL40S…/38」の管径が29mm、定格消費電力が38W、管電流が0.435A(435mA)であることが記載されている(同号証601頁)ので、この定格消費電力をランプ電流400mA時の電力に修正した34.9Wを採用する。

38×400/435=34.9W

電極損失は、池田論文の3.4項に示唆のある次の式(乙第5号証315頁左欄、以下「池田論文の式」という。)により算出する。

We=Ve×Il

We:電極部分で消費される電力(電極損失)

Ve:電極部電圧降下

Il:ランプ電流

上記式に代入する値のうち、ランプ電流は400mA(0.4A)であり、電極部電圧降下は、湯浅論文の図1(甲第12号証30頁)にランプ電流420mAにおける電極降下電圧が示されており、封入希ガスをアルゴン100%としたときの高周波点灯時の電極降下が11.6±0.4Vであると記載されている(同号証30頁13~14行)ので、これをランプ電流400mA時の電極部電圧降下に修正した11.0Vを採用する。

11.6×400/420=11.0

そうすると、電極損失は4.4Wと算出される。

11.0×0.4=4.4W

陽光柱部の長さについては、池田論文に、「陽光柱長さは、電極間げき長-0.8×(管径)」であると記載されている(乙第5号証315頁左欄)ところ、電極間げき長は管中心部の長さから口金の長さと電極(2個分)の長さを差し引いた長さであり、環形蛍光ランプの管中心部の長さは、「(管内径+管径)×π」の式によって求められる。そして、JIS区分(甲第9号証10頁)によるFCL40/38の管内径の標準値は315mm、管径は29mmであり、また、1994年6月14日松下電子工業株式会社従業員作成のけい光ランプ寸法図(乙第7号証)には、FCL40/38の口金の長さが15.5~21.5mmであること、FCL32/30用の電極の長さが32.0mmであり、この寸法はFCL40/38にも用いられていることが記載されているから、口金の長さとして18.5mm(15.5mmと21.5mmの平均値)、電極の長さとして32.0mmを採用して、FCL40/38の陽光柱部の長さを算出すると、975mm(97.5cm)となる。

管中心部の長さ=(315+29)×π=1080mm

電極間げき長=1080-(18.5+32.0×2)

=998mm

陽光柱部の長さ=998-0.8×29=975mm

以上の各値を前記の式に代入して、引用例に記載のFCL40/38に周波数40KHzの点灯電圧を印加して、ランプ電流400mAで点灯する場合の単位長さ当たりの陽光柱電力を求めると、約0.31W/cmとなる。

陽光柱電力=34.9-4.4=30.5W

単位長さ当たりの陽光柱電力=30.5/97.5

=0.313W/cm

単位長さ当たりの陽光柱電力0.31W/cmは、本願発明が規定した陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23~0.31W/cmというランプ電力の上限値と等しい。

(2)  原告は、被告の計算方法に関し、電極損失を、池田論文の式に従って4.4Wと算出したことが誤りであり、電極損失は、0.88W又は0.5~0.6Wであると主張する。

しかし、40W蛍光ランプにおいて、電極損失を原告の計算方法に従って0.5~0.88Wとした場合、その電極損失の割合は1.25~2.2%にすぎないが、被告の計算方法に従って4.4Wとした場合には11%である。そして、W. ELENBAAS著「LIGHT SOURCES」(乙第8号証)の第5図は、蛍光灯中のエネルギー変換を図解したものであって、消費される100Wのうち15W(15%)が電極損失であることが記載されており、また、「電気学会大学講座 照明工学(改訂版)」(乙第9号証)の第3.40図は、40W白色けい光ランプのエネルギーの流れを図解したものであって、入力100%に対し15%が電極損失であることが示されている。さらに、池田論文(乙第5号証)の表1には、「ワットブライター」(FCL40/38)のランプ電力分布が記載されており、電極損失が5.5Wであることが示されている。被告の計算方法に従って算出した電極損失値又はその割合は、これらの文献の示す値に近似する。

この点について、原告は、高周波点灯時においては、陽極降下電圧がほとんど0となり、その結果、商用周波点灯時に比べて電極損失が減少するとし、湯浅論文(2.3)式が、商用周波においても、高周波においても成立する電極損失を計算するための一般式であると主張する。

しかしながら、蛍光ランプの電極損失が商用周波点灯時と高周波点灯時において相違すること自体は認めるが、湯浅論文に上記の式の説明として「陰極近傍のイオン電流は全電流の1/10としている」(甲第12号証33頁8~9行)と記載されていることに照して、上記の式は、陰極損失に関してはイオン電流による陰極加熱に使用される損失のみを考慮し、全電流のうち残余の9/10(電子による電流)にかかる陰極近傍の損失(放電損失)を無視しているものであって、正確な電極損失を表しているものではない。電極損失は、(陰極降下電圧+陽極降下電圧)×ランプ電流との数式で表現されるものである。

なお、「照明学会雑誌」44巻12号(乙第10号証所収の坊博他1名「高周波点灯におけるけい光放電管の諸特性」の第9図は、T-8ランプを使用し、ランプ電流を240mAに設定したときの、周波数の変化と電極損失の変動との関係を示したグラフであり、その測定結果に関し、同論文には、「電極損失は100c/s付近より次第に減少し、1,000c/sでは60c/sの約58%になっている.それ以上の周波数ではほとんど変化なく一定とみなしうる.この結果より電極損失は1,000c/s以上では60c/sのときより約40%減少することが判明した.この関係は放電電流が異なれば幾分異なると思われるが本実験は定格電流におけるものであり、電源波形は正弦波である。」と記載されている。このグラフ及び記載に照しても、原告主張の電極損失が正確に計算されたものとはいえない。

したがって、電極損失に関する原告の主張は失当である。

また、原告は、被告がランプ電力を「38×400/435=34.W」と計算したことについて、蛍光ランプには電流を減少させると電力が減少するとともに電圧が増大する特性があるから誤りであると主張する。

しかし、原告が根拠とする「照明教室」(甲第11号証137~139頁)の第3図a(最上段のもの)によると、電流の微少な変化に対し電圧はほぼ一定であると考えてよいことが認められる。したがって、被告の上記ランプ電力の算定に誤りはない。

第5  証拠

本件記録中の書証目録の記載を引用する。書証の成立については、乙第7号証を除き、当事者間に争いがない。

第6  当裁判所の判断

1  取消事由2(相違点〈2〉の判断の誤り)について、判断する。

(1)  審決は、本願発明と引用例発明との相違点〈2〉、すなわち、「『ランプ効率が最大になるランプ電力』に関し、本願発明が『陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23W/cmないし0.31W/cmのランプ電力』と規定しているのに対し、引用例に記載されたものは“ランプ効率が最大になるランプ電流400mA前後”としている点」(審決書5頁16行~6頁1行)について、「相違点〈2〉は、単なる表現上の相違によって生じたものと認められる。」(同8頁11~13行)としたものであるところ、本願発明も引用例発明も、ともに一定要件の下で蛍光ランプに高周波点灯電圧を印加してランプ効率が最大になるランプ電力(あるいはランプ電流)を得ることを課題とするものであるが、数値限定をしたその範囲に少なくとも重複するところがなければ、別個の発明と評価しなければならないから、本願発明の「陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23W/cmないし0.31W/cmのランプ電力」との規定と、引用例のFLC40についていわれている「ランプ電流400mA前後」との規定とを同一の計測単位に変換した場合、その結果に重複する部分があるかどうかにっき、検討する。

(2)  この点につき、原被告とも、引用例発明のFCL40の蛍光ランプに周波数40KHzの点灯電圧を印加して、ランプ電流400mAで点灯する場合を前提として、これが、本願発明の陽光柱部の単位長さ当たりの入力である「0.23W/cmないし0.31W/cmのランプ電力」に該当するかどうかを検討しているが、この場合に、

単位長さ当たりの陽光柱入力

=陽光柱入力/陽光柱の長さ (1)式

陽光柱入力

=ランプ入力(ランプ電力)-電極損失 (2)式

との関係式が成り立つことは当事者間に争いがない。

この(2)式に代入するランプ電力値について、原告は41.2W、被告は34.9Wと算出し、電極損失値について、原告は、湯浅論文(2.3)式により、0.88Wと算出するのに対し、被告は、池田論文の式により、4.4Wと算出している。すなわち、陽光柱電力は、原告によれば、40.32W、被告によれば、30.5Wである。

次に、(1)式に代入する陽光柱の長さについて、原告は95.2cm、被告は97.5cmとし、その結果、求める単位長さ当たりの陽光柱電力は、原告によれば、0.424W/cm、被告によれば、0.313W/cmとの差異が生じている。

ここで仮に、電極損失値として原告の採用する0.88Wをとり、ランプ入力と陽光柱の長さの値は被告の採用する上記の数値をとって計算すると、単位長さ当たりの陽光柱電力は、0.348W/cmとなる。

陽光柱入力=34.9-0.88=34.2(2)式

単位長さ当たりの陽光柱入力

=34.2/97.5=0.348(1)式

逆に、電極損失値として被告の採用する4.4Wをとり、ランプ入力と陽光柱の長さの値は原告の採用する上記の数値をとって計算すると、単位長さ当たりの陽光柱電力は、0.386W/cmとなる。

陽光柱入力=41.2-4.4=36.8(2)式

単位長さ当たりの陽光柱入力

=36.8/95.2=0.386(1)式

すなわち、このいずれの場合も、単位長さ当たりの陽光柱入力は、本願発明の上限値0.31W/cmを超えるのであるから、被告主張の単位長さ当たりの陽光柱入力0.313W/cmが支持されるためには、その主張する電極損失値4.4Wが妥当な数値ということができるかによることになる。

(3)  そこで、高周波点灯時の電極損失についてみると、本願明細書(甲第2号証の2)には、「蛍光ランプの電極降下電圧は高周波点灯時、著しく低下する。その一例を・・・第4図に示した。図は横軸にアルゴン・クリプトン混合比を容量%でとり、縦軸に電極降下電圧をVの単位でとつたもので、曲線(Ac)は商用周波点灯時、曲線(HF)は高周波点灯時のそれぞれの電極降下電圧を示す。そして、電極降下電圧が低下すると商用周波点灯時に比べ、高周波点灯時の電極損失が減少するため、ランプ内における陽光柱部と電極部との消費電力の比が高周波点灯時と商用周波点灯時とでは異なって来る。」(同号証3頁18行~4頁11行)と記載されており、図面第4図に表示された商用周波点灯時曲線(Ac)と高周波点灯時曲線(HF)とによって、封入希ガスがアルゴン100%に近いときには、商用周波点灯時の電極降下電圧が18V前後に、高周波点灯時の電極降下電圧が11.5V前後になることが示されている。

また、湯浅論文(甲第12号証)には、「図1にランプ内径φ26.4mm、φ22.0mm、封入ガス圧240Pa、ランプ電流420mAにおける電極降下電圧を示す。・・・図中AC、HFは各々商用周波、高周波における値である事を示す。電極降下電圧の陰極降下電圧と陽極降下電圧への分離は図2に示す放電管で行なった。まず第一、第二電極間で充分に放電させて水銀蒸気圧を高めた後に第一、第三電極間に放電を移行させ(直流放電)、その間の電圧Voを読んだ。第三電極は負グロー中に入っている。封入ガスがAr100%、240PaのランプにおけるVo値は商用周波、高周波でそれぞれ12.4V、11.3Vだった。図1より封入ガスがAr100%での高周波点灯時の電極降下は11.6±0.4Vであり、上記11.3Vとよく一致している。負グローに入っている第三電極は陽極降下が殆んど零と見なせるから高周波点灯時には陽極降下が殆んど零であると言える。」(同号証30頁4~16行)との記載、及び「Wel1を測定するのは困難だが、・・・電極損失Welを電極降下電圧およびランプ電流Ilから力率1として求めても大きな誤差は生じないと思われる。

よって

Wel=(Vc+10.43)×0.1×Il+Va×Il

----(2.3)

但しVc、Vaはそれぞれ陰極、陽極降下電圧で、陰極に入るイオンは全て電離電圧10.43Vの水銀イオンとし、陰極近傍のイオン電流は全電流の1/10としている。」(同号証32頁末行~33頁9行)と記載されており、その図1(同号証30頁)は、本願の図面第4図(甲第2号証の2)と同一の測定結果に基ずくものと認められる。

さらに、「JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS」32巻8号(甲第13号証)所収のWatanabe他1名「高周波動作における蛍光ランプの陰極降下特性」には、

「各動作周波数での放電電流で生じる全電極加熱損失はつぎのとおり:

DC:43KHz:50Hz≒1.3:~1.4:3.9」(同号証訳文10頁18~20頁)、「43KHz動作における全電極損失が50Hz動作におけるそれのおおよそ1/3である」(同11頁5~6行)、「高周波動作における蛍光ランプの高い発光効率は陽極降下の消失と同様に陰極降下電圧の減少に起因する。」(同12頁22~23行)と記載されている。

他方、商用周波点灯時における電極損失については、W.ELENBAAS著「LIGHT SOURCES」(乙第8号証)の第5.7図に示された蛍光灯中のエネルギー変換図において、消費される100Wのうち15W(15%)が電極損失であるとされ(同号証部分訳)、「電気学会大学講座照明工学(改訂版)」(乙第9号証)にも、第3.40図に示された40W白色けい光ランプのエネルギーの流れの図解において、入力100%に対し15%が電極損失であるとされていることが認められる。

これらの文献によれば、蛍光ランプの高周波点灯時においては、陽極降下電圧がほとんど0となるとともに、陰極降下電圧も商用周波点灯時に比べて減少し、電極損失は商用周波点灯時よりも、約1/3となること、商用周波点灯時における電極損失割合は15%であること、したがって、高周波点灯時における電極損失割合は、その3分の1の5%となると認めて差し支えないものということができる。

なお、「照明学会雑誌」44巻12号(乙第10号証)所収の坊博他1名「高周波点灯におけるけい光放電管の諸特性」には、その第9図(同号証12頁左欄)に示された、T-8ランプを使用し、ランプ電流を240mAに設定したときの、周波数の変化と電極損失の変動との関係を測定した結果に関し、「電極損失は100c/s付近より次第に減少し、1,000c/sでは60c/sの約58%になっている.それ以上の周波数ではほとんど変化なく一定とみなしうる.この結果より電極損失は1,000c/s以上では60c/sのときより約40%減少することが判明した.」(同号証12頁左欄2~11行)との記載があるが、上記第9図には周波数3,000c/s(3KHz)までの測定結果しか示されておらず、周波数40KHzの引用例においてまで、約40%という電極損失減少割合が妥当すると即断することはできないので、これを採用することはできない。

(4)  以上を前提に、高周波点灯時における引用例発明についての原被告主張のランプ電力に対する電極損失の割合をみると、原告においては、ランプ電力41.2W、電極損失要0.88Wであるから、0.88/41.2=0.021、すなわち、2.1%であるのに対し、被告においては、ランプ電力34.9W、電極損失4.4Wであるから、4.4/34.9=0.126、すなわち、12.6%となる。

これを、前示の高周波点灯時における電極損失の割合5%と比較すると、原告主張の数値が被告主張の数値に比べより妥当であると評価しなければならないことは、明らかである。

この被告主張の数値による電極損失の割合12.6%は、前示の商用周波点灯時における電極損失割合15%に近似しているが、このことは、被告が商用周波点灯に関する文献である池田論文(乙第5号証)に示唆された関係式を用いて電極損失を算出していることに由来するものと認められ、したがって、被告算出の電極損失4.4Wを前提とする引用例発明の高周波点灯時における陽光柱部の単位長さ当たりの入力値0.313W/cmは、これを採用することができない。

そして、この電極損失4.4Wを前提とする引用例発明の陽光柱部の単位長さ当たりの入力0.313W/cmは、本願発明の「陽光柱単位長さ当り0.23~0.31W/cmのランプ電力」の上限にあるから、電極損失が、たとえ原告主張のように0.88Wではなくとも、4.4Wよりも小であるとすれば、他はすべて被告の用いた数値を用いて計算しても、引用例発明の陽光柱単位長さ当りの入力は、本願発明の数値範囲外のものとなることは明らかである。本件全証拠をみても、他に被告主張を裏付けるに足りる資料はない。

したがって、審決の「相違点〈2〉は、単なる表現上の相違によって生じたものと認められる。」(審決書8頁11~13行)との判断は誤りというほかはない。

2  以上によれば、審決が、本願発明が引用例発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとしたことは、直ちに首肯することはできないものといわなければならない。

よって、原告の請求は理由があるものとして認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 牧野利秋 裁判官 石原直樹 裁判官 清水節)

平成3年審判第2162号

審決

東京都品川区東品川4丁目3番1号

請求人 東芝ライテック株式会社

神奈川県横須賀市船越町1丁目201番地ノ1 東芝ライテック株式会社 知的財産部

代理人弁理士 小野田芳弘

昭和58年特許願第21722号「蛍光ランプ装置」拒絶査定に対する審判事件(平成4年7月6日出願公告、特公平4-40826)について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

ランプ(FCL 40、32、30)の高周波特性」(以下、「引用例」という)には、

「1.まえがき」の欄に、「今回、一部省電力ランプを含めて、環形けい光ランプ(FCL 40、32、30)を周波数15K~40KHzで点灯させた時の、ランプ効率と始動特性を得たので報告する。」

「3.測定結果」の欄の「(ロ)」に、「40KHz時」の「ランプ効率-ランプ電流」の特性、

「4.まとめ」の欄の「3」項、「4」項に、「省電力ランプ(29φ管径)は従来ランプ(32φ)とほぼ同じ傾向をもつ。」、「ランプ効率はランプ電流の少ない程高くなりFCL40、32ではランプ電流400mA前後に最大点がある。」

の各記載が認められ、また、けい光ランプ装置をランプ効率が最大になるように点灯使用することは設計上の自明事項であるから、それらを勘案すると、同引用例には、実質的に、

“29φ管径の環形けい光ランプ(FCL40)に周波数が40KHzの点灯電圧を印加して、ランプ効率が最大になるランプ電流400mA前後で点灯するけい光ランプ装置”。

が記載されていると認められる。

Ⅲ.そこで、本願発明と引用例に記載されたものとを対比すると、引用例に記載されたものにおける“環形けい光ランプ(FCL40)”の管内径が本願発明における「18mmないし30mm」の要件に合致するものであるとは、“29φ管径”であることから明らかであるし、その電極間距離が本願発明における「1380mm未満」の要件に合致するものであることも、本願明細書の第2表を参照するまでもなく明らかである要し、また、引用例に記載されたものの使用周波数“40KHz”が本願発明における使用周波数「10KHzないし100KHz」の要件に合致するものあることも明らかであって、さらに、引用例に記載されたものにおける“ランプ電流”が『ランプ電力』と相関関係をもつものでそれに対応するものであること、本願発明における「陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23W/cmないし0.31W/cmのランプ電力」が『ランプ効率が最大になるランプ電力』の趣旨のものであることも明らかであるから、両者は、

『管内径が18mmないし30mmで電極間距離が1380mm未満の蛍光ランプに周波数が10KHzないし100KHzの点灯電圧を印加してランプ効率が最大になるランプ電力で点灯する蛍光ランプ装置』

の点で一致し、以下の各点で一応相違する。

〈1〉『蛍光ランプ』に関し、本願発明が「内部に水銀とともに容積比でアルゴンを90%以上含む希ガスを封入した」ものとしているのに対し、引用例に記載されたものはその点を明らかとしていない点。

〈2〉『ランプ効率が最大になるランプ電力』に関し、本願発明が「陽光柱部の単位長さ当たりの入力が0.23W/cmないし0.31W/cmのランプ電力」と規定しているのに対し、引用例に記載されたものは“ランプ効率が最大になるランプ電流400mA前後”としている点。

Ⅳ.よって、以下それら相違点〈1〉、〈2〉を検討する。

相違点〈1〉について

本願発明の「蛍光ランプ」の封入態様「内部に水銀とともに容積比でアルゴソ90%以上を含む希ガスを封入した」自体は、アルゴンを100%封入した汎用の蛍光ランプの封入態様がそうであるように、ごく通常的で、かつ種々の希ガスを混入する改良品の原型とも云えるものであって(前記異議申立人が甲第5号証として提示した「照明ハンドブック」の第160頁右欄第25行~第161頁左欄第3行、「理化学辞典」岩波書店 1965年4月5日発行 第393頁、参照。)、加えて、例えば前記引用例における「環形けい光ランプ(FCL40、32、30)を周波数15K~40KHzで点灯させた」の記載が示唆するように、汎用の蛍光ランプの態様を高周波用にそのまま用いるようにすること自体に格別の違和性や困難性があるとも云えないから、本願発明におけるそのような蛍光ランプの封入態様は、むしろ工夫を施さないことで得られた原始的態様とでも云うべきものであり、当業者が容易に採用しえたものと認められる。なお、封入希ガスとしてのアルゴンが縞状発光を抑制する作用効果をもつものであることは周知のことである(前記異議申立人が甲第4号証として提示した「昭和56年照明学会 27mm管径省電力蛍光ランプ」の特に図5、別の異議申立人日立照明株式会社が甲第3号証として提示した「照明学会誌」第66巻第4号 昭和57年発行、第144頁の特に左欄第2~8行、参照。)から、そのようなアルゴンを多く封入した本願発明の蛍光ランプが、同し縞状発光である「定在または殆ど定在状態の縞」(前記手続補正書第2頁第14~15行)からなる縞状発光をも抑制できるであろうことは予測することに難くなく、本願発明の作用効果が格別なものであるということもできない。

相違点〈2〉について

対象とするけい光ランプ装置自体が同様のものであれば、『ランプ効率が最大になるランプ電力』がどのように規定されようともその実態に相違はないはずであって、本願発明と引用例に記載されたものとは前記したように要件のことごとくで一致するものである(『蛍光ラソプ』の封入ガスについては一致していると云えないが、本願発明における前記ランプ電力に関する規定は、本願明細書の記載から明らかなように、封入ガスの如何に拘らずなされたものであるから、それによって影響されない。)から、両者の実質的内容は客観的にみれば同様のものと云え、この相違点〈2〉は、単なる表現上の相違によって生じたものと認められる。

Ⅴ.以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載されたもの及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。

平成6年12月22日

審判長 特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

特許庁審判官 (略)

平成3年審判第2162号

審決

東京都品川区東品川4丁目3番1号

請求人 東芝ライテック株式会社

神奈川県横須賀市船越町1丁目201番地ノ1 東芝ライテック株式会社 知的財産部

代理人弁理士 小野田芳弘

昭和58年特許願第21722号「蛍光ランプ装置」拒絶査定に対する審判事件(平成4年7月6日出願公告、特公平4-40826)について、次のとおり審決する。

結論

本件審判の請求は、成り立たない。

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